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ICMRA会合:COVID-19のリアルワールドエビデンス及び観察研究 #4

ICMRA


2020年10月13日
議長:Kelly Robinson氏(HC(カナダ))、Xavier Kurz氏(EMA(欧州医薬品庁))

1. ウェルカムと背景

Xavier Kurz氏*(EMA)は初めに、共同議長であるKelly Robinson氏(HC)及びオンラインの参加者を歓迎した。第4回COVID-19のリアルワールドエビデンス及び観察研究に関するICMRA会合の目的は、一部の地域で実施中の取り組みの経験を共有すること及び、2020年5月19日の会合にて始動した3つの専門的ワークストリーム(ワクチンサーベイランスとビジランス、妊婦、国際コホート)における進捗をアップデートすることであった。Kelly Robinson氏は、パンデミックが拡大し続ける中、COVID-19に関する研究の重要性は依然として高いことを指摘した。症例数の増加やアウトブレイクが多くの地域で生じており、過去に感染制御された地域も含まれている。
* Peter Arlett氏(EMA)は今回欠席

2. 各国/地域における取り組みの情報共有を含む、観察研究に関連した活動経験の共有

ICMRA事務局は10月9日にICMARメンバーに対して調査を実施し、各国/地域におけるCOVID-19の観察研究に関連する実施中又は計画中の取り組み、他の規制当局と共有可能な成果、及び国際協働の可能性について聞取りを行った。
2つの当局が会議中に以下のとおりフィードバックした。

  • DKMA(デンマーク):Jesper Kjaer氏 (Head of Danish Medicines Agency’s Data Analytics Centre)は、学術機関、患者団体及び他国の当局と共にDKMAが主導するCOVIDコホート分析及びワクチンサーベイランスについて発表した。既存の国内レジストリに基づきこれまでに11の研究が開始され、NSAIDやACE/ARBといった既存治療法における潜在的な合併症について調査している。関連する専門知識を持つ様々なステークホルダーの代表者で構成される運営グループが、各専門家グループがどの分析を行うか決定している。透明性向上のため、承認された全ての提案はDKMAのウェブサイト及びEU-PAS Registerにて公表されている。推進ベースのデータベース(Danish Microbiology databases、the Danish National Patient Registry、the Danish National Prescription Registry)を使用し、COIVD-19の発症及び重症度に対するNSAIDの影響を調査した分析が特にハイライトされた。この分析結果は、NSAIDsがコロナウイルス感染症の重症化要因ではないことを示している。
    同レジストリはワクチンサーベイランスにも使用される予定である。この研究の第一段階は、DKMAが受領した有害事象報告を含むワクチンレジストリのデータとNational Patient Registerデータの統合である。この研究により、有害事象の迅速な検出を目的とする日報ベースの一般的なワクチンサーベイランスが新たに実施される。この研究の第二段階は、有害事象の早期検出を可能にするNational Prescription Registry、生化学的データ、GPとの交流等のデータとの統合である。
    重要なポイント:既存の母集団レジストリを通じたデータの一元化は、デンマークにおけるパンデミックへの迅速な準備及び対応での成功に寄与している;すべてのステークホルダーの代表者によって構成される独立した運営グループは、適切な専門性を有し、政治的な影響を希薄化するために重要である。
  • PMDAは日本における進行中の主要な研究「オルベスコ及びアビガンの観察研究」及び「COVID-19レジストリ研究」を紹介した。中間報告は日本語のみ入手可能であるが、質問がある場合にはPMDAが受け付ける。
3. 2020年5月19日ICMRA会合にて開始された3つの専門的 ワークストリームのアップデート
a) ワクチンのサーベイランスとビジランス(MHRA)

Philip Bryan氏(MHRA(英国))は、COVID-19ワクチンのビジランスにおけるベストプラクティス及びベストプランニングを共有することを目的として、MHRA及びTGA(オーストラリア)が共同議長を務めるCOVID Vaccine Pharmacovigilance Networkでの進捗を発表した。このネットワークは現在14ヵ国及びEMA?WHOにて構成されており、メンバー外の組織であるIFPMA Covid-19 Vaccine Working Group on Pharmacovigilance(製薬業界)、ユトレヒト大学がリードするvACcine Covid-19 monitoring ReadinESS (ACCESS) consortium、ニュージーランドがリードするGlobal Vaccine Data Network (GVDN)等も活動への関与に関心を示している。
本グループはICMRAメンバーに、知識共有と重複の削減を促し広く周知されるこれらのすべての取り組みのレポジトリ構築の観点から、ビジランスの準備活動に関して調査を開始した。活動の範囲は幅広く、例えば以下のようなものがある:

  • 自発報告システムやシグナル検出/強化のための電子診療情報の使用等、利用可能な既存の情報源
  • 臨時/専用の積極的サーベイランスプログラム及びオーダーメイドITソリューションの使用
  • シグナル検出及び強化のためのアプローチ及び方法論
  • AESIの優先事項と症例定義、及びサーベイランスに情報をもたらすAESI背景率に関する情報交換
  • 新たに発生している安全性シグナル及び計画されたコミュニケーションに関する情報

各国/地域は、独自のワクチンのモニタリング方法を用いる可能性が高いため、活動の重複は避けられない。しかしながら、ここでのアイデアは、規制当局がワクチンサーベイランスの調和可能な部分を特定できるように、様々な国/地域のアプローチに関する認識を高めることである。これにより、共通の手法への合意につながったり、研究目的にてデータを蓄積するといった国際協力が強化できる可能性がある。
DKMAから、このグループが、データ蓄積の代わりに、規制当局間で類似の分析プログラムを設定できないかという質問が挙がった。現時点ではこの点について決定できないが、現在第三者機関において取り組まれており、現行の活動への共通理解を得るための情報共有の必要性が強調された。
また、製薬業界との交流により生じうる成果について質問が挙がった。業界との議論は始まったばかりであるため、協働の範囲や、期待する成果及び推奨する形式に関してICMRAメンバーからの提案が歓迎される。

b) 妊婦に関する研究における協働 (EMA)

Corinne De Vries氏(EMA)が妊婦におけるCOVID-19感染に関する進行中の研究について紹介した。EMAは、2020年7月、ヨーロッパにおける研究実施と、COVID-19感染及びCOVID-19関係の医薬品が妊婦に与える影響に関するメタ解析の準備のため、オランダのUniversity Medical Center Utrecht (UMCU)がリードするEU PE & PV Research Networkと契約をした。
CONSIGN (Covid-19 infectiON and medicineS In pregnancy)と呼ばれるこのプロジェクトは、妊婦でのCOVID-19のワクチンの適応、ワクチン接種方針及び治療オプションに関して、エビデンスに基づいた意思決定を導くことを目指している。本コンソーシアムは、Conception(Innovative Medicines Initiative – 88のパートナーから出資されたプロジェクト)、INOSS(International Network of Obstetric Survey Systems – 妊婦及び小児における難病の前向き母集団研究を実施する多国間組織協働)、及びCOVI-PREG(ジカウイルス感染症発生の際に開発されたツールを用いて、妊婦及び小児における難病の前向き母集団研究を実施する多国間組織協働)の3つの主要ネットワークから構成される。
COVID-19に感染した妊婦において、特定の医薬品が妊娠結果に与える影響を、一次データの収集を通じて推定するために、INOSS及びCOVI-PREGネットワークにて症例対照研究が行われる予定である。これと並行して、医薬品の使用、COVID-19の転帰及び医薬品に関連した妊娠結果を推定するために、ヨーロッパ8ヵ国における9つの住民の電子診療録及び電子出生記録において、ヘルスケアデータベースで収集されたリアルワールドデータの2次利用に基づく研究が実施される予定である。3つの各ワークストリームで使用されるデータベースは重複しているものがあるが、これはバリデーションにより許容されている。後ろ向き研究の最初のプロトコルは、2020年10月に開始され、2021年7月に最終解析となる予定である。
本コンソーシアムは、ヨーロッパ外のパートナー(例:Sentinel、CNODES、他のICMRAグループ及びヨーロッパ外のINOSSとCOVI-Pregグループ)と綿密に協働しており、他の地域/国からデータを収集する機会を得ている他、分析に用いる患者数を増加させている。
また同時に、世界的なメタ解析における国際協力を強化するために、EMAがリードしHC、WHO、FDA、MEB(オランダ)、AIFA(イタリア)及びMHRAが参加する妊婦に関するICMRA専門家ワーキンググループが設立されている。電子診療録/住民コホートに重点を置き、世界規模の解析に有意義な症例数を達成するために、参加並びに自国のデータソースに適用する全ての国とCONSIGNプロトコルを共有する予定である。ワーキンググループのメンバーからのインプットに基づいて、COVIDの妊婦における進行及び計画中の取り組み、既存データソースやネットワークに関する目録が作成されており、希望により入手可能である。特定の症例/シグナルに関して更なる詳細が必要な場合には、これらは将来的に調査されるかもしれない。
これらの活動の最終的な目標は、妊婦におけるCOIVD-19の疾患経過と母体及び子供への影響についてより良い理解を得て、現在使用されているCOVID-19治療法の影響に関する疑問に応えられるよう準備することである。これらの目標を達成することに成功した場合、妊婦における医薬品のベネフィットリスクモニタリングの体制やリスク管理計画の評価において、COVIDのパンデミック収束後も再び利用可能な強固な基盤を構築することができるだろう。
一部のデータベースは3つの主要ネットワークにおいて重複しているため、分析に含まれる患者に重複がないことを確実にするためにどのような手法が用いられるかについて、質問が挙がった。Corinne De Vries氏は、これに関しては、間もなく提出されるプロトコルの中で、コンソーシアムが対応を求められている潜在的な課題として特定されていると明言した。
妊婦に関するテクニカルグループにICMRAメンバーが参加を希望する場合の連絡先:Corinne.Devries[at]ema.europa.eu, Kelly.Plueschke[at]ema.europa.eu

c) 国際コホートの構築

Gaya Jayaraman氏(HC)は、ICMRAにおけるCOVID-19患者の国際コホート構築のためのテクニカルサブワーキンググループにおいて進行中の活動に関するアップデートを提供した。このグループは規制要求事項を満たし、現時点で不明な点を解消する既存の知識差を解消する目的で、専門知識を共有し研究力とデータの質を向上させるために設立された。議長はHCが務め、メンバーはFDA、EMA、及びAEMPS(スペイン)である。
これまでの3回の会合を通し、本グループは、国際レベルでの差異を特定する、又は実施中の取り組みを強化する観点で、それぞれの地域で計画中又は実施中の活動を共有した。メンバーは国際協力により恩恵を受ける特定の研究課題の同定及び優先付けに関する基準について合意した。研究課題として、COVID-19症例定義研究(HCリード)、ステロイド使用研究(EMAリード)、凝固障害研究(FDAリード)の、3つのトピックが選ばれた。この活動は、主要な知識の差に対処するためのリアルワールドデータソースを活用するプロトコルの作成につながることが期待される。
最終目的は、2020年の冬までに、共通プロトコルを実装する、又は多様性に対応する分析アプローチを明らかにすることである。これまでに、国際コホート構築ワーキンググループは、パンデミック中及び収束後の双方において、重要な科学的優先事項に関する規制当局の協力プロセスについて、科学的及び運用上の学びを共有する利点がある。

  • COVID-19非入院患者及び入院患者におけるステロイド使用(Xavier Kurz氏):IQVIA(Erasmus大学及びOxford大学との協働)は、EMAに委託され、OMOPデータモデルに変換された、又は変換しているデータベース研究を行っている。第一の目的は、以下の2種類の患者を対象とした、全身性副腎皮質ステロイド(例:デキサメタゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、ヒドロコルチゾン)のCOVID-19治療への使用について情報を得ることである;COVID-19と診断されてから90日以内の入院患者及び(病院外で何らかの治療を受けている)外来患者。プロトコル(案)は9月に提出され、EMA、FDA、HCが審査している。これまでに4つの主要な質問と多数の細かい質問が挙げられ、IQVIAに伝えられた。プロトコルの更新版は10月30日までに提出される予定である。
  • 凝固障害研究(Silvia Perez-Vilar氏):FDAは後ろ向きコホートデザインを使用した研究をSentinelで行う計画をしている。主要アウトカムは、動脈血栓症(急性心筋梗塞もしくは急性虚血性/塞栓性発作)及び静脈血栓症 (急性深部静脈血栓もしくは肺塞栓症)の発生率である。研究プロトコルが最終化されている最中であり、データパートナーを特定するため使用可能なデータ評価を実施中である。最終結果は2021年8月に出る予定である。
  • EMAは、可能な限り類似の目的、研究デザイン及び変数を持つ研究をヨーロッパで実施するために、第三者機関に委託する予定であると発表した。この研究は、今後メタアナリシスのため大陸を超えてデータを統合することを視野に、Sentinelシステムのデータベースとヨーロッパで利用可能な他のデータベース間の違いを考慮したうえで実施される。


質疑応答

  • FDAは、CDMが凝固障害研究に使用されるかどうかについて質問を受けた。CDMはすでにSentinelに実装されていることから、使用予定であることが確認されたが、FDAは、その分析には可能な限り多くのコホートを含める予定であることも述べた。
  • 凝固障害及びステロイド使用の研究のプロトコルはまもなく最終化される予定であるため、ICMRAメンバー内でのプロトコル共有の可能性に関する質問が挙がった。これはまさしく本活動の目的であり、参加を希望するすべての国/地域でプロトコルを実装することができる。
  • 研究活動への参加における秘密保持への同意の必要性に関する質問:本件は妊婦のテクニカルグループ内で議論された。EMAはこの質問をした韓国当局をフォローアップする。
  • 最後に、異なる活動の進捗に関するコミュニケーションと透明性の重要性が強調された。可能な限り多くの規制当局やステークホルダーに情報が届くよう、ICMRAウェブサイトでの議事録やプレスリリースの公表に加え、他のコミュニケーション手法も検討される。
4. まとめ及び次のステップ:

共同議長らは、今までに達成された素晴らしい働きに感謝するとともに、特にCOVID-19パンデミックにおけるICMRAの協働の重要性を強調し、会議を締めくくった。この会合により、各テクニカルグループの進捗の定期的なアップデート、透明性の向上、知識共有が可能となる。
DKMAからは、既存のレジストリを用いて大きな集団での幅広い研究を効果的に構築する可能性が紹介された。
参加者には、世界中の様々な規制当局から情報を収集するため、ICMRA事務局から10月9日に回覧された調査票を提出することが推奨された。
次回の会合はICMRA事務局により約6週間後に開催する予定である。ICMRA事務局の支援に感謝を表する。

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